たとえば東京工業品取引所で金価格が3600円/gだったとします。現物を買うつもりで、360万円用意して、1枚1kgの取引を行う限り、商品先物取引は決してハイリスクではありません。証拠金は時によって変わりますが、仮に1枚12万円だとします。360万円相当の取引を12万円で出来るわけですからレバレッジは30倍です。(360万円÷12万円)からり高いレバレッジですが、現金が360万円ある限りこの取引は金の現物を買ったのと同じ程度に安全な取引です。なぜなら数日以内に金の価値がゼロになることはまず考えられないからです。万一ゼロになっても12万円の損害です。
しかし先物取引を行う場合、商品先物取引会社の営業マンは、360万円の資金があると、最大30枚買わせることを推奨します。証拠金が12万円なので、360万円全額を使えば30枚の金を買うことができます。この場合はじつは、1億800万円の取引を行っているに等しいのです。360万円しか現金が無い人が1億円の取引を行えば、少しの金価格の上下で大きな損益が発生します。商品価格は上がることもありますが、必ず下がって上がるという具合に上下動を繰り返しながら徐々に上がることが一般的です。すると、金価格がわずか10円動いただけで、1億800万円は、1億500万円の価値になってしまいます。10円で300万円の損失です。なぜなら10円/gの動きは1kgでは1万円となり、レバレッジが30倍なので、300万円の損益となります。10円上がれば360万円が660万円になりますが、10円下がれば360万円は60万円になってしまします。おおよそですが、1日に東京金価格は100円動くことがあります。100円下がってしまえば、1000万円の損失ですから、1日で640万円の損害ということになります。これはハイリスク以外の何ものでもないでしょう。
それではどうすればよいでしょう?
360万円あって、1枚は安全で30枚は極めて危険だということがおわかりいただければ、その中間の下の方、つまり5枚とかせいぜい10枚までが取引の限度でしょう。10枚だと100円の値動きで、100万円の損失がでます。1日で投資額の3分の1弱が無くなる可能性がある取引です。5枚なら100円の値動きで50万円の損益です。いずれも株式よりはかなり大きな値動きが生じます。そうしたことを理解された上で、商品投資をされることをお勧めします。360万円あって1枚や2枚の取引ならほとんど追い証がかかることはなく、安全な商品投資だといえましょう。